鹿児島の暑い夏を乗り切る唐辛子系調味料
唐辛子系調味料にも地元の特長有り~県内産唐辛子やたかえび・黒酢・きび酢使用
かごしま特産品研究所では、梅雨も明け夏本番の到来を前に、鹿児島の特産品のうち、唐辛子がピリリと効いた「辛みが特長」の唐辛子使用の調味料について調査しました。
夏をトップピークとして、春から秋まで比較的長い期間ご利用いただいていることや、自家利用に加え、お土産・手土産の利用も想定されること等がわかりました。
また、国内生産が少ない唐辛子ではありますが、県内産の唐辛子を使ったもの、唐辛子以外に県内各地の特徴的な食材を利用したものなど、地域色豊かな唐辛子系調味料をご紹介します。
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トピックス
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1:唐辛子の歴史と生産
2:辛み系調味料はお土産・手土産にも利用
3:鹿児島の辛み系調味料の3タイプ
~Aラー油系 Bソース系 C振りかける系
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1:唐辛子の歴史と生産
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●●唐辛子は輸入が多く、国内産は希少●●
「激辛料理」の特集がメディアで組まれるなど、夏になると注目されるのが「唐辛子」。
諸説あるようですが、日本伝来は16世紀後半、江戸歴史年表『武江年表』には1605年頃唐辛子伝来した旨が記載されているようです※1。1625年(寛永二年)、初代からしや中島徳右衛門が、漢方薬にヒントを得た七色唐辛子を江戸の両国薬研堀にて販売を開始しており、これが今に続く「やげん堀」の創業です※2。
唐辛子は、調べてみると9割以上が輸入で国内生産はごくわずかのよう。国産唐辛子を使うものは、かなり限定的と言ってよいようです。
鹿児島県での唐辛子生産量は7トンで全国シェアの2%(下図1)。県内産地の1つが鹿屋市花岡地区で栽培される「花岡胡椒」で、鹿児島県の伝統野菜にも登録されています。一時は生産が途絶えていたものを、保存していた種子から再び栽培を始めたもので、「花岡胡椒研究会」さんで栽培・加工製造に取り組まれています。
※1『日本の食文化史年表』吉川弘文館、※2やげん堀HPより。
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2:辛み系調味料はお土産・手土産にも利用
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●●購入は4~11月、暑い8月を中心にゴールデンウイーク・秋の観光シーズン●●
唐辛子系調味料はいつ買われているのか。コロナ禍の影響がない2019年1~12月のかご市販売データから調べたものが上図2です。
※2019年1~12月の平均売上/月を100として、各月の売上指数推移を示したもの
8月のトップピークに加え4月・11月にもピークがあり、夏を中心に春から秋まで比較的長い期間にわたり購入されていることがわかります。一方で冬場はかなり売行きが低調です。
夏季ニーズに加え、4月・8月・11月は観光需要・手土産需要も多い時期であり、辛味調味料が「もらうと嬉しい」手ごろなお土産や手土産として重宝されている姿が思い浮かびます。
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3:鹿児島の辛み系調味料の3タイプ
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●●かご市取り扱い商品からご紹介●●
●A:ラー油系●
唐辛子と各種シーズニングで「こく旨」タイプや、超辛唐辛子使用のラー油も!
2009年8月に桃屋から発売された「辛そうで辛くない少し辛いラー油」に始まるラー油ブームは、すっかり定着していると見え、かご市でも特色あるラー油が販売されています。
❶食べる花岡胡椒(善STYLE、鹿屋市)
前述の花岡胡椒を使ったラー油でピーナッツも入った具沢山タイプのこく旨ラー油。
❷❸激辛ラー油、超激辛ラー油(食工房・くるくま草、南九州市)
❸は❷より辛味が強いタイプ。唐辛子の一種でハバネロより辛いとされるジェロキア使用。
❹焼海老辣油(下園薩男商店、阿久根市)
タカエビの焼エビ使用の、海老の香りと旨みが特長のこく旨タイプ。水揚げがある阿久根で製造。
●B:ソース系●
炒飯やパスタ、野菜炒め、餃子のタレなど料理に使いやすいソースタイプ
一般の調味料ソースでもレギュラータイプに加えて「辛いタイプ」が発売されるケースが増えていますが、鹿児島でも辛みソースが作られています。
❺辛いソース花岡胡椒です(善STYLE、鹿屋市)
花岡胡椒のソースタイプ。ラー油より辛味が際立つ。
❻桷志田の食べる黒酢激辛(福山黒酢、霧島市)
福山町の黒酢屋さんが作った、食べるタイプの黒酢タレ(調味料)にも「激辛」タイプ。山椒も入っており、ほんのりシビレ感もアクセント。他にちょい辛もあります。
❼唐辛子ソースRED SPICY SAUCE(キンコー醤油、鹿児島市)
口から火を噴くパッケージの唐辛子ソース。パスタ、ピザ、揚げ物、焼そば、炒飯にかけて。
●C:振りかける系●
パパっと振りかけて使うタイプは、料理のアクセント、味変に
この3点は唐辛子がいずれも県内産のもの。喜界島や霧島の会社で作られています。
❽島みかんタバスコ(ティダ・ワールド、喜界町)
喜界島産花良治みかんと喜界島産青唐辛子で作ったタバスコ。さわやかな辛さが特長。
❾島きびすタバスコ(ティダ・ワールド、喜界町)
喜界島産きび酢と喜界島産赤唐辛子で作ったタバスコ。コクのある辛さが特長。
❿霧島一味(かわいち国分、霧島市)
鹿児島県産唐辛子で作られた一味。
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かごしま特産品研究所について
中小企業・小規模事業者の経営支援を行う鹿児島県商工会連合会(会長 森義久)が運営するかごしま特産品市場「かご市」で、県内特産品を深く知り盛り上げる調査研究を行うチーム。
①特産品のトレンドや利用方法の調査・研究
②特産品の特長や購入者の調査・研究
③特産品が生み出される背景や製造者の調査・研究
〈メンバー〉
所長:山崎道夫 (かごしま特産品市場・かご市支配人)
主席研究員:満留玲子 (鹿児島県商工会連合会)
研究員:中島秋津子(STUDIO K)
研究員:縄田倫靖(NAWAGATE)
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かご市・店舗情報
名称:かごしま特産品市場「かご市」
概要:鹿児島県商工会連合会の運営店舗
住所:892-0842鹿児島市東千石町15-21
営業:10~19時(休み:1月1日)
公式サイト:https://kagoichi.com/
※10~11時、15~19時は比較的ご来店が少ない時間帯です。
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かごしま特産品市場「かご市」、及び同研究所に関わるお問い合わせは下記にて承ります。
研究員 中島秋津子(株式会社STUDIO K内)
電話:099-203-0477
問い合わせフォーム:https://studiok-co.jp/